子どもと若者の
セーフガーディング指針

1. はじめに

一般財団法人インターナショナル・ブラインドフットボール・ファウンデーション(IBF Foundation)は、2019年の設立以来、国際NGOとして、「人と知恵を繋ぎ、視覚障がいに解を出す」ことをミッションに掲げ、世界各国の視覚障がい者に対し、支援を行ってきた。IBF Foundationが直接的、間接的に支援を行う視覚障がい者は、身体的、機能的障がいに加え、社会的不利を被ることが多く、IBF Foundationではそれら身体的障がい、機能的障がい、社会的不利に対してアプローチを行っている。社会的不利を被る人たちの中で、より脅威にさらされうる、視覚に障害のある子ども、若者の安全を確保するために、IBF Foundationによる活動ならびにIBF Foundationが支援する活動において、子ども、若者をリスクにさらすことがないよう、「子どもと若者のセーフガーディング指針」を制定するものとする。

2. 目的

この指針の目的は、人々、特に子どもと若者、危険にさらされている大人、支援の受益者がIBF Foundationとの接触を通して何らかの有害行為を受けることを防ぐことにある。
また、支援の受益者となる特に子どもと若者が、IBF Foundationが支援する団体の関係者(受益者)との接触を通して、何らかの有害行為を受けることを防ぐことも目的とする。これには、以下から生じる有害行為を含む。

  • IBF Foundationのスタッフまたは関係者の行動
  • IBF Foundationのプログラムや活動の形成および実施

3. セーフガーディングとは何か

セーフガーディングとは、人々の健康、福祉、人権を守り、人々が危害、虐待、ネグレクトから解放された生活を送ることができるようにすることを意味する。私たちは、セーフガーディングが、人々(子どもと危険にさらされている大人を含む。)をIBF Foundationのスタッフやプログラムとの接触から生じる危害から守ることを意味することを理解する。
セーフガーディングに関するより詳しい定義は、「12.用語と定義」を参照すること。

4. 適用範囲

  • IBF Foundationと契約する全スタッフ
  • IBF Foundationと業務で連携するまたはIBF Foundationを訪問する関係者(コンサルタント、ボランティア、業者、報道関係者、著名人、政治家を含むプログラム訪問者を含むがこれに限られない。)

5. 指針要綱

IBF Foundationは、私たちが接するすべての人が、年齢やジェンダー認識、障がいの有無、性的指向、民族に関係なく、あらゆる有害行為、虐待、ネグレクト、搾取から守られる権利を持つと考えている。IBF Foundationは、スタッフまたは関係者による虐待や搾取を許容しない。
この指針は、子どものセーフガーディング、大人のセーフガーディングおよび性的搾取や虐待からの保護について取り扱う。
この指針は、子どもと若者に対する性的搾取や虐待からの保護(Protection against sexual exploitation and abuse, PSEA)を含むが、この他にも個別の指針や手続きが必要とされる場合もある。
IBF Foundationは、活動のすべての過程において、予防(prevention)、通報(reporting)、対応(response)の3つの柱を用いてセーフガーディングに取り組む。

6. IBF Foundationの責任

IBF Foundationは、以下を行う。

  • すべてのスタッフがこの指針を入手し、内容を理解し、自分たちの責任を知ること
  • IBF Foundationのすべてのプログラムと活動を、IBF Foundationと接触することで生じうるあらゆる有害行為のリスクを回避する方法で設計し実施すること(プログラムにおける個人情報の収集および公開を含む)
  • スタッフおよび関係者の採用、管理、派遣の際には、厳重なセーフガーディング手続きを行うこと
  • スタッフが組織内における各自の役割に応じたレベルのセーフガーディング研修を受けるようにすること
  • セーフガーディングの懸念に関する相談や通報に対して、迅速かつ適正な手続きに従ってフォローアップすること

7. スタッフの責任

IBF Foundationのスタッフおよび関係者は、以下を行ってはならない。

  • 18歳未満と性的関係を持つこと
  • 子どもに対して性的虐待または搾取すること
  • 子どもに対して身体的・情緒的・心理的虐待またはネグレクトの対象とすること
  • 児童労働や人身売買を含む子どもを商業的に利用する活動を行うこと

さらに、IBF Foundationのスタッフおよび関係者は、以下の義務を負う。

  • セーフガーディング違反を予防し、セーフガーディング指針を遵守する環境をつくるとともに、その環境を維持すること
  • IBF Foundationのスタッフまたは関係者によるセーフガーディング違反に関するあらゆる懸念や疑いを担当スタッフに相談・通報すること

8. セーフガーディングに関する懸念を相談・通報する方法

セーフガーディングに関する懸念や相談、通報があるスタッフは、セーフガーディング担当者または上長に迅速に相談・通報を行わなければならない。たとえば、相談・通報が真剣に扱われないと感じたり、その人が事案に関わっている可能性があったりするなど、もしセーフガーディング担当者または上長に相談・通報することに不安を感じた場合は、上長のさらに上の管理職または人事担当者に伝えても良い。相談・通報したスタッフは、適切に保護される。
IBF Foundationは、一般住民やパートナー団体、公的機関など外部からの相談・通報も受け付ける。
疑念の相談・通報先:reporting_desk@ibf-foundation.football

9. 対応

IBF Foundationは、各種指針と手続き、法令上の義務に沿って(「11.セーフガーディング懸念事項の通報および対応手続き」参照)、セーフガーディングに関する通報と懸念についてフォローアップする。
IBF Foundationは、指針に違反したことが判明したスタッフに対して、適切な懲戒処分を行う。
IBF Foundationは、内部調査など適切な内部手続きが実施されたか否かに関わらず、スタッフまたは関係者による有害行為を受けたサバイバーに対して支援を行う。支援に関する決定は、サバイバーが主導する。

10. 守秘義務

セーフガーディング懸念を扱うすべての過程において、守秘義務が維持されることは必須である。懸念に関する情報およびその後のケースマネジメントは、知る必要がある人にのみ共有され、常に安全に保護されなければならない。

11. 懸念事項の通報および対応手続き

「IBF Foundationセーフガーディング対応手続き」において規定する。

12. 用語と定義

支援の受益者

IBF Foundationのプログラムで物資やサービスを直接受ける人。なお、不適切な権力の行使は、IBF Foundationが関係するより広いコミュニティにも当てはまり、力関係で優位なポジションにあると認識させることによる搾取も含まれることに留意しなければならない。

子ども

18歳未満の人

若者

15歳から24歳までの人

有害行為

心理的、身体的、その他あらゆる形での個人の権利の侵害

性的搾取および虐待からの保護(PSEA)

この言葉は、人道支援および開発支援の業界では、スタッフや関係者による性的搾取や虐待から被災者を保護することを指す。これは、「性的搾取と性的虐待からの保護を図る特別措置に関する国連事務総長公示」(ST/SGB/2003/13) に基づく。

セーフガーディング

セーフガーディングとは、人々の健康、福祉、人権を守り、人々が危害、虐待、ネグレクトから解放された生活を送ることができるようにすることを意味する。私たちは、セーフガーディングが、人々(子どもと危険にさらされている大人を含む。)をIBF Foundationのスタッフやプログラムとの接触から生じる危害から守ることを意味することを理解する。
セーフガーディングとは、危害、特に性的搾取、虐待、ハラスメントの発生を防ぎ、人々、特に社会的弱者や子どもをその危害から守り、危害が発生した場合に適切に対応するために、あらゆる合理的な手段を講じることを意味する。
この定義は、私たちの価値感と理念に基づき、私たちの組織文化を形づくるものである。これは、特に性的な目的のために権力や信頼を濫用し、脆弱性につけこんだ有害行為を予防し、対応することについて特別の注意を払うことを意図している。
セーフガーディングは、私たちのプログラム、関係機関、スタッフに対して、継続的にかつ例外なく適用される。つまり、有害行為や搾取、虐待のすべてのリスクを積極的に特定し、予防し、注視する必要がある。また、リスクが発生した際の通報・対応・再発防止のための責任ある、透明性の高い制度を持つ必要がある。これらの制度はサバイバーのことを中心に考えなければならず、かつ、相談・通報の対象となる事実があったことが明らかになるまでは疑念を向けられた人物をも保護しなければならない。
セーフガーディングは、私たちが行うすべてのことについて、受益者と被災者を中心に置いて考えるものである。

身体的虐待

大人であれ子どもであれ、誰かの身体を実際に傷つけること、または身体を傷つける可能性のある行為を行うこと。叩く、揺さぶる、有毒物を与える、溺れさせる、火傷させることが含まれる。また、親や保育者などが虚偽の傷や症状をつくりあげることや、故意に子どもを病気にすることも含まれる。

性的虐待

子どもが理解していない、あるいは同意せざるを得ない状況で、無理やり、もしくは、そそのかして子どもに性的行為をする、またはさせること。これにはレイプ、オーラルセックス、マスターベーションやキス、押し付ける、触るといった性器の挿入を伴わない行為も含まれるがこれらに限られない。さらに、性的なものを見せる、子どもを使って性的な写真や画像を作成する、性的に不適切な態度を子どもにさせることも含まれる。

性的搾取

お金、ギフト、食料、住居、みせかけの愛情、社会的地位など、子どもやその家族が必要なものと引き換えに、子どもに性的な行為をさせること。多くは、子どもと親しくなる、信頼を得る、ドラッグやアルコールを与えるなどして、巧みに子どもを操り強要することで行われる。両者の間には、同意があったと主張されることがあるが、力関係が不均衡である場合には、被害者側には限られた選択肢しか与えられていないため、同意があったとはみなされない。

ネグレクト・養育怠慢

子どもの身体的・精神的・道徳的発達に悪影響を及ぼしかねないほど、継続して子どもが最低限生活するために必要な基本的な行為をしないこと。子どもを適切に養育・監督せず危険から守らないこと、栄養のある十分な食事を与えないこと、安全に暮らしたり働いたりする環境を提供しないこと、妊娠中の母親が薬品やアルコールを不適切に服用することやそれを容認すること、障害のある子どもの世話を行わなかったり不適切に扱ったりすることなども含まれる。

心理的虐待

子どもの心理発達に影響を及ぼすほど、継続して心理的に不当に扱うこと。行動を制限する、貶める、辱める、いじめる(オンライン上のいじめも含む。)、脅す、怖がらせる、差別する、ばかにすることなどが含まれる。

サバイバー

虐待または搾取の被害を受けた人。「被害者」という言葉より、「サバイバー」には強さや回復力、生存能力といった意味あいが含まれる。しかし、自分自身をどう名乗るかは、個人の選択による。

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