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IBF Foundationは1月、視覚障がい者が職場環境で主体的に活躍できるよう、「マジョリティの中で居場所を作り、力を発揮する」をテーマに実践知を生み出すことを目的とした第2回ワークショップを開催しました。20代から50代の3名の受講生が、全5回のワークショップを通じて、視覚障がいによる困難を少しでも解消するための実践的な手法や具体的な行動を学びました。
ワークショップの概要
第1日(1月8日)
市民参加型ミュージカルの開催・運営を行うNPO法人コモンビート理事長の安達亮氏を講師に迎え、「マジョリティの中で居場所を作り、力を発揮する」方法について講義を受けました。障がい者も参加する場で実践されている自己開示やコミュニケーション手法などを学びました。
第2日(1月15日)
視覚障がいの有無にかかわらず、職場で「やりづらい」と感じることを参加者全員で共有しました。
第3日(1月22日)
第2日で挙がった課題に対して、どのような解決策があるのかを検討しました。また、視覚障がい者がマジョリティの中で働く際のSWOT分析も取り入れ、具体的なアプローチを考えました。
第4日(1月25日)
土曜日の午後4時間を使い、SWOT分析の結果を共有し、共通認識を形成。その上で、実践知としてどのような行動が可能かを議論・検討しました。
最終日(1月29日)
第4日で得られた結果の工夫や改善点を共有し、議論を重ねました。最終的にテーマに焦点を当て、視覚障がい者が活用できる具体的な実践知(工夫)をまとめました。
運営上の配慮
視覚障がい者を対象としたワークショップであるため、運営にも配慮を実施しました。
- 駅から会場までの同行サポート
- 音声読み上げに適したメール文面の作成
- 資料の事前配布(ワードファイル形式)
- 視覚障がい当事者スタッフの運営参画(企画・調整業務、ワークショップファシリテーション業務)
今回の取り組みと今後の展望
視覚障がい者はそれぞれ独自の実践知を持っていますが、それらの情報にアクセスすることは容易ではなく、共有のためのプラットフォームも不足しています。本ワークショップでは、参加者が直接集まり、対話を通じて知見を共有し、さらに質を高める場を提供しました。
昨年7月から8月にかけて実施した第1回ワークショップの経験を活かし、今回は実践知を列挙するところから丁寧に作業し、議論を深めることを重視。「マジョリティの中で居場所を作り、力を発揮する」というテーマに焦点を当て、より深い議論を行う形式に変更しました。初めての企画だったため、昨年から手探りで始まった取り組みも、回を重ねるごとに改善されています。
「ブラインドサッカーで人と知恵をつなぎ、視覚障がいに解を出す」をミッションに掲げるIBF Foundationは、今後も視覚障がい当事者をつなぎ、課題解決に取り組む活動を続けていきます。
参加者の声
「(受講で感じた変化は)周囲の同僚に関わろうとする意欲の高まり。既に、気付きを実践に変え動き出そうとしています」
「自分発信をすることの大切さを改めて実感し,自己理解が深まった。周囲に存在を認識してもらえる方法として選択肢が広がった。主題から外れている部分もあったが,それぞれの立場で考えを共有できたことがよかった」